何度言っても同じミスを繰り返してばかりの部下にほとほと疲れてしまった経験はありませんか?頭ごなしに叱っても委縮して、頭の中には何も記憶としては残らないことがほとんどです。
では、いったいどうすれば向上心を持って仕事に励むように指導することができるのでしょう。それを考えていく上で向上心のない部下の特徴を紹介し、ある病気の可能性や、やる気アップの方法を提示していきたいと思います。
向上心がない部下に見られる3つの特徴
まず、過去の「失敗」を次へ生かすことができていないところです。
過去の「失敗」に学ぶよりも、先に過去の失敗が鮮明に思い出されてきて、挑戦しないという選択肢を選んでしまいます。誰だって初めから上手くいく人はいないのにも関わらず、必要以上に落ち込んでしまうのも特徴です。
ですから、失敗してしまった原因をトレースして考えることすら面倒くさくなって行いません。次に、依頼心が強く、何事も自分で責任を持って取り組むことができないところです。
自分が任された仕事であっても分からないことがあれば、先輩に尋ねるより前に自分で調べることをしようとしません。調べても分からない、あるいは合っているかどうか不安な場合に、質問をするのは納得できますが。
これではいつまでたっても独りで仕事をこなしてくようになるのは難しいです。
最後に、過去の嫌な思い出とリンクしてしまうからです。
仕事の段取りを上手くやっていて、仕上げのところだけを持っていかれて、成果を奪われるような経験があったとしたら、誰だってやる気をなくしてしまいますよね。
それが続いてしまえば、頑張ったって手柄はどうせ他人のものになってしまうという思いが芽生え、仕事そのものに対するやる気も無くしてしまうのです。
もしかしたら病気の可能性があるかも!?
向上心がない人の中には、「愛着障害」を抱えている人がいるかもしれません。
いったいどんな特徴があり、どのように対処していけばいいのかを紹介していきます。
- 「愛着障害」って何?
「愛着障害」とは、幼少期において養育者との情的なつながりを形成することができずに、子どもの情緒や対人関係にトラブルが起こることです。成人はしていても「愛着障害」を抱えたままの状態で、そのまま大人になってしまいます。
WHOが定める分類によると、2つのタイプがあり、1つは「反応性愛着障害」ともう1つは「脱抑制型愛着障害」を挙げることができます。前者は、他者と執拗に距離をとったり、他者に興味を示さなかったり、関わろうとしなかったりなどの問題が見られます。
後者は、逆で、どんな人に対しても不必要なほどフレンドリーに振舞ってしまうのが大きな特徴です。
- 「愛着障害」を克服するためには?
次の3つを行っていくことが大切です。
1つ目は、与えられた役目をこなしていくこと。
その役目に関心を持って取り組む必要が出てくるので、それを介して他人とコミュケーションをとらなければなりません。そうすることによって、他者との会話が生まれ、関わりをもつことができます。
2つ目は、自分の得意なことを生かすこと。
得意分野を伸ばしていくと、自己肯定感が生まれ、自分自身の存在をしっかりと感じることができるようになります。得意分野を作っておくと、これに関する役目を持つ機会があるかもしれません。
3つ目は、自分で自分の心をコントロールすること。
自分の心の動きを客観的に捉えて、どういう状態なのかを観察し、振り返ることが大切です。そのために1日の起こった出来事を日記風に書き綴って、自分で自分の考え方の特徴をつかんでみましょう。
部下をやる気にさせる方法は?
向上心のない部下をやる気にさせるには、いったいどうすればいいのでしょう。しっかりとポイントを押さえて関わりを持っていけば、時間はかかりますが見事な変身を遂げてくれるにちがいありません。
いくつか方法はありますが、汎用性の高いものを2つ紹介します。
- 褒めるべきポイントを褒めるようにすること
誰が見てもあからさまのお世辞と分かるような称賛は、誰だってバカにされているような気がします。むやみやたらと、とってつけたように何でもただ褒めればいいというものではありません。
例えば、前回と比較してどの点が良くなったのかを分かりやすいように示して褒めると、頑張った甲斐があったと思ってくれます。頭ごなしに叱るのではなく、どこをどう改善していけばもっといいものになっていくか提案するように伝えていくと受け入れやすくなるでしょう。
しっかり真剣に仕事に打ち込めば、他者から評価を得ることができるといった意識がしだいに刷り込まれていくようになっていきます。
- スモールステップを踏んでいくこと
向上心をなかなか持てない人の中には、自分自身への評価が大変低い状態に陥っていることが多いです。そんな人こそ、スモールステップを踏んでいくことが大切でしょう。
「俺だって、私だってやればできるんだ」という小さな段階をいくつも積み重ねていけば、自分自身に対して強い自信を持つことができます。最初は失敗して尻込みしてしまうかもしれませんが、やがて失敗を次へ生かす糧として捉えることができるようになってくるでしょう。
成功体験を積み重ねていくうちに、今よりももっと上をという強い意識が芽生えてくるようになります。
まとめ
向上心のない部下に見られる特徴は、過去の失敗や経験から自己肯定感を抱くことができずに物事を悲観的に捉えてしまう癖があります。
もしかしたら、幼少期の両親との関わり方が原因で愛着障害を抱えたまま成人となっている場合も考えられます。
愛着障害を克服するためには、自分にできることで自分の役割を感じられるようにし、自分の思考について振り返ることが大切です。そして向上心のない部下を育てていくためには、次の2つの方法が有効です。
まず、しっかりとあなたの頑張りを見ていますよと伝えるために、前回と比べてこが具体的に良かったのかを伝えていきましょう。
次に、スモールステップを積み重ねて、自分に自信をつけさせるようにしていくことです。