「結婚するまでは、良かったなあ」といった、同級生のつぶやきを耳にすることが多い近頃です。夫婦でいる姿を見ていて、言わんとすることが何となく分かった気がします。多くの家庭は、妻か夫のどちらかが主導権を握ることによって、家庭を回しているのです。
夫が握っていれば「亭主関白」、妻が握っていれば「かかあ天下」と皮肉交じりに語られます。ただ、ただ一方的に耐えているだけの夫婦関係で、終わりを迎えてしまうことはないのでしょうか!?
そこで、「亭主関白」や「かかあ天下」の家庭の離婚率について紹介していきたいと思います。
「亭主関白」と「かかあ天下」について
普段は気にも留めませんが、改めて考えると、ちょっとしたことが気になります。そもそも両者の言葉の起こりには、どんなことが関係しているのでしょうか?また、実際のところどちらの家庭が日本においては多いのでしょう。
そもそも「亭主関白」ってどんな意味?
「亭主」と「関白」という言葉で区切ることができます。「関白」は天皇に代わって政治の実権を握っていた役職を意味し、あの豊臣秀吉もこれに就いています。
関白になるには天皇家の血筋が必要だったため、秀吉は近衛前久の養子となり就任することができたそうです。政治の中枢にいたわけですから、家臣たちにあれこれと指図しているだけに、周りからは見えたかもしれません。
それになぞらえて、家庭内において何でも牛耳っているような夫のことを「亭主関白」と呼ぶようになったのです。
「かかあ天下」が意味する内容は?
元々の言葉の意味は、むしろ女性を褒めたたえるような内容でした。農村の女性は、農作業だけではなく、子育て、炊事や洗濯と休みもなく働き、当時の社会の基礎を支えていたのです。
「我が家の妻は働き者で天下一」といった上州(群馬県)の男性が自分の妻へ感謝の思いを伝えるために使われていました。
ですから、平たく説明すれば「妻はとても働き者だ」ということです。そこから転じて、今ではどちらかと言えばマイナス的な要素を持って語られます。現代の意味は、妻よりも夫が家庭内において権限を持ち、夫を尻に敷いているという内容です。
どちらの割合が高いの?
株式会社ウェディングパークが手掛ける、ガールズスタイルLABOは、ある調査(2013)を行いました。それによると家庭内で主導権を握る割合は妻:夫=3:2で、「かかあ天下派」に軍配が上がる結果となりました。
「かかあ天下」の家庭からはこんな声がいくつか寄せられています。
「義理の両親の誕生日や年末年始の帰省など、夫は率先して動かない。出たとこ勝負は嫌なので、自主的に動いている」と回答しているのは30代前半の女性。
「『夫から俺はサッカーで例えるなら選手、君は監督だ』と言われてから頼りないと感じた」と語るのは、20代後半の女性。
「亭主関白」の家庭からも、いくつか声が届いています。
「外食をしたり、家を借りたり、式場を決めたり…などすべてにおいて夫が決定権を握っている」と話す20代後半の女性。
「妻の私は優柔不断で決められないので、決断力と行動力のある夫に任せるようにしている」と語る20代後半の女性。
「亭主関白」/「かかあ天下」の離婚率は?
「亭主関白」/「かかあ天下」が多い都道府県は?
ソニー生命保険株式会社が行った「47都道府県別・生活意識調査」(2017)によると、次のような結果が出ました。全国的な傾向として、「喧嘩に強い」・「経済的な決裁権を握っている」・「教育の主導権を持つ」のは、妻の割合が高いようです。
「妻は喧嘩に強い」と答えた割合が最も高かったのは、香川県(43%)、宮城県・群馬県・高知県(40%)、徳島県(39%)と四国3県がランクインしました。
「妻は喧嘩に強い」と回答した割合は、愛媛県(25%)、栃木県・大分県(24%)の順に高かったです。
「妻は経済的な決裁権を握っている」のは、和歌山県・広島県(61%)、鹿児島県(58%)の順で、この逆は埼玉県(27%)、長野県(25%)、愛知県(23%)と大きな開きが見られます。
「妻は教育の主導権を持つ」と回答したのは、和歌山県(55%)、宮城県(51%)、福井県(50%)の順となりました。一方、「夫は教育の主導権を持つ」と答えたのは、埼玉県(27%)、長野県(25%)、愛知県(23%)という結果です。
「亭主関白」/「かかあ天下」で離婚に至る場合は?
最高裁判所が公開している司法統計データ(2015)の婚姻関係事件数をもとにして、それをランキング化したものを参考に話していきます。「亭主関白」/「かかあ天下」の家庭において、離婚してしまう可能性はゼロではありません。
次に示すように、離婚に至る原因の中には、それらに関することがいくつか見られるからです。
女性の離婚原因の第1位は「性格の不一致」、第3位は「生活費を渡さない」、第4位は「モラルハラスメント」、第6位は「無駄使いが多い」、第7位は「家庭を顧みない」と、少なからず「亭主関白」の影響が感じられます。
男性の離婚原因の第1も「性格の不一致」、第3位は「モラルハラスメント」、第6位は「無駄使いが多い」、第10位は「家庭を顧みない」と、「かかあ天下」の要素が見られます。
離婚率の多い年代は?婚姻期間は?
国立社会保障・人口問題研究所によると、年齢別の有配偶者における離婚率(2015)は、夫も妻も若い世代において、離婚率が高い傾向があります。
最も離婚率が高い順に夫は、20歳以上24歳以下(約5.2%)、19歳以下(約5.0%)、25歳以上~29歳以下(約2.1%)の年齢層において高いです。
一方、妻は、19歳以下(約8.2%)、20歳以上~24歳以下(約5.1%)、25歳以上~29歳以下(約2.1%)という結果を表しています。また、同居期間で区切った離婚の割合(2016)は、結婚してから数年間経ってから、あるいは長期間経ってから離婚する傾向が強いです。
同居期間の具体的なデータを挙げると、約21%と5年以上~9年以下が最も多く、次いで約17%の20年以上、そして約14%の10年以上~14年以下となります。
離婚率の多い都道府県は?「亭主関白」/「かかあ天下」の影響は?
総務省の統計データ(2016)によると、全国平均は1.73で、最も高いのは沖縄県(2.59)です。次いで、宮崎県(2.02)、大阪府(1.99)、北海道(1.97)、福岡県(1.93)の順になります。
この結果を踏まえて、1章で紹介した「亭主関白」/「かかあ天下」の多いと見られる都道府県は、離婚率の高いランキングに入っていないためそれほど関連性は高くないと考えることができます。
まとめ
「亭主関白」/「かかあ天下」の家庭における離婚率は、意外と低いことが分かりました。
ただし、離婚理由の上位に位置している内容と「亭主関白」/「かかあ天下」と関連するところがありますので、しっかりと夫婦関係を見つめ直しましょう。
妻は夫を、夫は妻を、お互いを尊敬した上で、こういった関係性を維持していくのであれば家庭円満なのかもしれませんね。