中学生の頃になると、多くの子どもたちは反抗期を迎えることになります。とにかく親から言われること、されることのすべてが嫌で仕方がなくなってしまいます。
そんな反抗期とはちょっと違う、うちの子は、なんでこんことでキレるかなって思ったことはありませんか!?もしかしたら、反抗期ではなく他に原因があるのかもしれません。考えられる原因の1つとして、「自閉症スペクトラム(ASD)」を挙げることができます。
今回は、ASDの症状と感情を爆発させる4つの原因について紹介していきます。
育てにくい中学生!自閉症スペクトラム(ASD)かも!?
思春期特有の反抗期ではない、独特の育てにくさを感じるのであれば「自閉症スペクトラム(ASD)」を疑ってみましょう。「自閉症スペクトラム」の症状やどんな特徴が見られるのかについて紹介していきます。
「自閉症スペクトラム(ASD)」っていったい何?
特に顕著な特徴として次の2つを挙げることができます。1つは、人と人とのつながりを感じるコミュニケーションを行うことが困難であること。もう1つは、限られた範囲のことに関心を示す一方で、通常とは異なった流れに対して強い拒絶を示すこと。
学校などの集団生活の場においては、周囲に合わせた行動をとることが難しかったり、自分のルーティンを妨げられると強い不安を覚えたり、などが見られます。
先天的な脳機能の変異が原因と考えられており、親の子育てに関わりは見られないことが分かっています。そのため、一般的には治療法は確立しておらず、療育や支援に的を絞った対応が行われているのが現状です。
中学生になってから見られる4つの特徴
1つ目は、話し方が平板化してしまうこと。
話し方に抑揚が見られず、話し方の特異性が際立つことが見られます。
2つ目は、他人の気持ちや感情を理解することが苦手なこと。
他者と会話することが難しく、他人が何を考えているのかを想像することも難しい傾向にあります。
3つ目は、何気ない会話をすることができないところ。
いわゆる他人との雑談を行うことがとても苦手に感じてしまうようです。
4つ目は、興味の強いものには、のめり込むところ。
自閉症スペクトラム障害を抱えた人は、自身の関心が強いものに対してこだわりを持っています。そのため、周りが言わなくてもどんどんのめり込んでしまうことが多く、その分野で成功を収める可能性も否定できません。
自閉症スペクトラム(ASD)の中学生が癇癪を起こす原因は?
ASDの子どもは次に示す4つのことが原因で感情を爆発させてしまうことがあります。それぞれどんなことが引き金となっているのかについて、詳しく紹介しています。
思考の流れが固定的だから
ASDの子どもは、思考の流れに柔軟性がなく、想定外のことや言葉かけをされると癇癪を起してしまいます。
例えば、海へ泳ぎに行く予定がプールに行くことになったり、試合で勝つつもりが負けてしまったり、ゲームに夢中になっている際に「勉強しなさい」と声をかけられたりしたら、感情を一気に爆発させてしまうのです。
これはASDの子どもたちに特有な脳の特徴と大きな関連が見られますから、その一例をいくつか挙げます。マルチタスクが苦手で、優先順位をつけて考えることが得意ではない。視覚からの情報が優位なため、言語からの情報の処理は得意ではない。
何かに熱中してしまうと、周りがまったく見えなくなってしまう。
後先を考えずに衝動的に動いてしまう。
自ら計画を立案し、それを実行に移すことが難しい。
時間の軸を捉えて行動することができない。
感覚器官(聴覚・触覚・視覚・嗅覚・味覚)が過敏に働いてしまい、日常生活を送る上で支障が出てしまう。
自分の身を守るため
ASDを抱えている子どもの中には、私たちが知らないようなことで躓きを抱えていることも多く見られます。そんな躓きに対してどうすればいいのか分からずに、癇癪を起してしまうことが考えられるのです。
学校での1日のスケジュールの流れを分かるように示してくれないために、不安を覚える子もいるでしょう。おしゃべりが苦手なのに学び合いの学習の中へ参加させられて、不安や恐怖を覚え固まってしまう子も。
暗黙の了解が理解できずに、どのように対処すればいいか戸惑ってしまう子どもも出てきます。学校の授業は言葉による指導がメインのため、脳内での情報処理が間に合わずフラストレーションを感じてしまう子どももいるようです。
欲求不満耐性の発達が遅いため
あらゆる自分の欲求に対して、それを制して、耐え忍ぶ力のことを、欲求不満耐性と言います。赤ん坊の頃は、自分の要求が満たされないと泣いたり、わめいたりと耐性が低いのは誰でも同じです。
一般的には、年齢を重ねるにしたがって、精神的に大人に近い状態へと成長していきます。
しかし、ASDの子どもは、脳の機能が他の子と比べるとゆっくりと発達していくため、同世代の子どもと比べると幼いように見えてしまうような行動をとってしまうのです。
ASDの子どもは、中学生であっても自分の欲しいものが買ってもらえないと、癇癪を起してしまうことが珍しくありません。
ストレス耐性が弱いため
一般的に、子どもは嫌なことやしたくないことに対して耐える力に乏しいと言われています。が、年齢を経るにしたがって、その年齢に応じた刺激に耐えられるようになってくるものです。
ASDを抱える子どもは、以下の2つの理由によって、ストレス耐性が弱いと言われています。まず、先ほども紹介しましたが、脳がうまく機能しないことが原因で発達が遅いこと。次に、一般の人には分からないようなところでストレスを感じていること。
これらの理由によって、ストレスへ耐える力が弱くなってしまうのです。
まとめ
ちょっとしたことですぐに感情を爆発させている中学生がいたら、ASDの可能性があるかもしれません。ASDは、先天的な脳が抱える障害で治療するというよりも、うまく付き合っていく対応が行われています。
一般的な感覚からすれば、理解できないようなことで癇癪を起してしまうことも珍しくありません。まずは、無知による誤解を無くしていくためにもASDについて知ることが大切です。