連日、熱波が日本列島を襲っているこの頃です。
猛暑ではなく、過去に例を見ないほどの極暑を経験していますが、ちょっと涼やかな話題をお届けしたいと思います。
みなさんは「カワニナ」という名前を聞いた事はありますか?魚を飼っている人ならば、その名を耳にしたことがあるかもしれません。
しかしながら、多くの人にとってはあまり聞き覚えのない生き物に感じられるでしょう。そこでカワニナについて、主に次の2つの観点からお伝えしていきます。1つは、カワニナとはいったいどんな生き物であるかについて紹介します。
もう1つは、タンクメイトとしての実力について、水槽のコケを食べてくれるのかまで含めてです。
カワニナってどんな生き物?
何となく形をイメージできても生態までは知らない人も多いと思います。
また、カワニナの存在についてあまりよく知らない人も少なくないはずです。
そこでいったいどんな生き物であるかについて、できるだけ詳しく紹介していきます。
・種類
カワニナ属は日本においておよそ40種が存在していますが、それぞれの居住地域は限定的です。カワニナ属は大きく2つに分類でき、1つは琵琶湖水系のみに暮らす固有種群と、もう1つは全国に広く分布している個体群です。
琵琶湖には固有種を含めて16種が暮らしています。広く分布している個体群は、カワニナ類とその他のカワニナ属に分けることができます。
・生息場所とライフスタイル
水温の高くない(25℃以下)、流れの緩やかなキレイな河川においてその姿を見ることができます。生活環境としては、水深15㎝~30㎝くらいの川が適していると言われています。
あまり汚い水質の河川では生きていくことは難しく、コンクリート整備化された農業用水路でも目にすることは可能です。
特に西日本においては、群生していることが珍しくありません。
溶存酸素量が高い環境に暮らしていることが多く見られます。
・体の特徴と食べ物
細長い渦を巻いたような外見がとても特徴的です。
殻高(殻の高低差)は3㎝、殻の直径は1.3㎝くらいで成長は止まります。
殻高がおよそ2㎝に達するまで半年くらいの時間を必要とし、3㎝になるには数年もかかります。この大きさになれるのは産卵された卵の数%という報告もあるくらいです。
カワニナの平均的な寿命は約6年で、長いものは10年前後生きる個体もいるそうです。
食べ物については、種類を問わず岩や石などに付着した藻類や落ち葉などを好みます。
積極的に魚を捕食することはありませんが、魚の死体を分解する役割を果たすこともあります。
・天敵
ゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫は知られていますが、幼虫の体長よりも大きなサイズは食べることができないようです。
大きく育ち上がったカワニナを食べることができるのは、コイくらいと言われています。
コイは豪快に丸呑みにして、殻ごとかみ砕いて食べてしまうのです。
ザリガニやカニなども食べると言われていますが、生きた状態を捕食するのかは定かではありません。
タンクメイトとしてのカワニナの実力は!?
実はカワニナだけで飼うよりも、もっといい方法があるって知ってました?
誰でも手軽に飼えるメダカとの相性について紹介していきます。
また、カワニナは水槽の掃除に貢献してくれるのかについても触れていきます。
・メダカとの相性は?
カワニナは、メダカのタンクメイトとしての相性は悪くありません。
生育に適した水温や水質などがよく似ているため、一緒に育てていくこともできます。
お互いに捕食の関係となることもないので、混泳させても安心です。
亡くなってしまったメダカをカワニナが食べてしまうことは考えられます。
しかし、好んで自ら捕食することはありません。
ただし、カワニナは一部の水草を食べてしまうことがあるので注意しましょう。
・ホントに水槽のコケを食べてくれるの?
歯舌(しぜつ)というやすり状の口を使い、水槽の壁面についたコケ類などを削りとって食べてくれることを期待することができます。
カワニナ類の歯舌は、幅約0.5ミリ、長さ6ミリくらいの平たいヒモ状です。
中央にはおろし金のような歯があり、外側には先割れスプーンの先を長くしたようなうすい歯が見られます。
この歯舌を上下に動かして、エサを削り取って食べます。
そのため水中を漂っているものを食べることには適していません。
・飼育上の3つの注意点とは?
1つ目は、水槽の水が緑色になってしまった場合に、ろ過する役割をカワニナは果たすことができません。
それはタニシ類の方が優れています。
タニシ類は、水中を浮遊している小さなゴミをこしとって、水をキレイにする能力を有しています。
2つ目は、水質の悪化に気をつけることです。
カワニナは自身の排泄物によって水質が悪化すると弱ってしまうおそれがありますので、ろ過装置を使っていない場合は、しっかりと水換えを怠らないようにしましょう。
カワニナは溶存酸素が高い環境を好みますから、特に注意して観察しておく必要があります。
水質の悪化は、カワニナの生存を脅かす状態を招くと言っても過言ではありません。
3つ目は、生息範囲の異なる種を他の場所へと移動させないことです。
固有種も多く、これまで安定していた生態系をいたずらに乱すことにつながってしまいます。
もしもペットショップで原産地の分からないカワニナを買った場合は、むやみやたらと川に放流するようなことは絶対にやめてください。
まとめ
カワニナは、らせん状の細長い貝で、川の流れが緩やかなキレイなところで目にすることができます。
種類は多く、局所的に分布しているものと広く分布しているものの2つに分けることが可能です。
食性は雑食で、岩に付着した藻類などを食べますが、魚の亡骸を食べることもあります。
生息環境がメダカと似ているためタンクメイトとしてもおすすめです。
水槽の壁面に付着したコケであれば、カワニナが食べてくれる可能性があります。
ただし、水中のゴミを浄化する能力はタニシよりも劣るので注意しましょう。
非常に高い浄化能力を有するわけではありませんが、水槽の壁面の掃除の役割は果たしてくれそうです。