学生時代を振り返って見ると、嫌いな科目として挙げている人が多かったのは、数学と英語です。「日本語で支障なく生活できているから、何で勉強する意味があるんだ!?」とこぼしていた友人もいます。私は、未知の世界に触れるのが心地よくて周りよりも英語の勉強に取り組んでいました。
ですから、SNSを通じて外国人の友人とコミュニケーションをとることもあります。苦手な人にとっては、ホントに苦痛の種でしかない英語が、また再び注目を集めようとしています。学生の頃とは異なり大人になってから学ぶ英語に、いったいどんなメリットがあるのでしょう。
また、これほどまでに英語に対する学習熱が沸き起こった背景には何が隠れているのでしょうか?
社会人が英語の勉強をして得する4つのメリット
社会人になって仕事で英語を使う人は別として、多くの人はその重要性をあまり感じないと思います。しかしながら、英語を学ぶことによって得ることができるメリットは私たちの想像を超えたものばかりです。
具体例を交えながら、4つのメリットについて紹介していきます。
- 世界各地の人々を知り合いになることができる
世界でどれだけの人が英語を話しているか知っていますか?Harvard Business Review(2012)によると、ネイティブスピーカーを含めて約17.5億人もの人が英語を話しているそうです。世界の人口が約70億人ですから、その占める割合は25%にも上ります。
単純に考えれば、英語が話せれば世界中の4人に1人と自由に会話を楽しむことができるということです。ところで、英語話者の中においてネイティブスピーカーが占める割合は約22%(約3.9億人)と、ほとんどが第二言語として英語を話している人が占めています。
ちなみに第二言語とは、母語とは異なり、学校教育などを通じて教わる外国語を意味しています。驚くことに2020年には、英語話者の数は約20億人にも達するだろうと見通しがついています。
- 取り扱うことのできる情報量が多くなる
グーグルで試しに「英語 学習」と打ち込み検索をかけると、1億600万もの結果が表示されます。一方、「English learning」と英語で検索をした場合は、16億3,000万に及ぶ結果がヒットします。英語で検索した方が日本語の場合よりも約15倍もの情報の差があることが分かりました。
検索した単語によって多少の違いは見られるでしょうが、他の単語であってもだいたい同じような結果になるでしょう。そのため無料で画像を利用できるサイトの1つとして有名な「flickr」では、日本語でヒットしない場合は英語での検索を促しています。
- 脳を活性化することにつながる
ペンシルベニア州立大学のピン・リー教授の研究によって、母国語以外の言語を学ぶことで、学習者の脳内を活性化させることが判明しました。教授は39名の英語の話者を対象に、半数の参加者に1.5ヶ月にわたり中国語の語彙学習に取り組んでもらいました。
すると、学習を行った参加者は、行わなかった参加者と比べて語彙を覚えるまでの目標達成率が高くなっており、脳内の情報網が強化されていることが分かりました。また、学習前と学習後の参加者たちの脳をMRIでスキャンすると、脳内の情報網をつなぐ神経が学習前よりも大きく発達していたそうです。
この効果は学習者の年齢を問わないため、認知症予防にも一役買ってくれるかもしれません。
- 世界で活躍できるチャンスが広がる
しっかりとした英語力があれば、会社内で頼られることも多くなってくるでしょう。国内市場だけではなく、海外の企業や市場の存在も無視できないほどの影響力があります。そのため、英語が堪能であれば会社内で信頼され、社内でのあなたの評価がアップすることにつながっていくでしょう。
将来的には、社内でのポストにも影響を及ぼすことがあるかもしれません。これは何もビジネスの場面だけに限ったことではなく、世界で活躍しているスポーツ選手においても言えることです。
サッカー日本代表のGKを務めている川島選手は、海外に移籍する前から英語やイタリア語、ポルトガル語などを勉強していたそうです。ポルトガル語に関しては、通訳を介さなくても会話が成り立つ領域であり、キーパーというポジションから指示を出すことが多いため外国語の習得に励んだと語っています。
英語熱を生んだ背景
- バブル期
駅前にさまざまな英会話教室が乱立していたのは記憶に新しいことでしょう。その当時の英会話教室で働いている講師と言えば、現在とは異なり白人の先生が多かったのです。欧米の社会においては、上流階級が話す英語は、クイーンズイングリッシュであり格が違うという認識が広まっていました。
そして若い日本人の女性の中には、白人の男性と付き合うことが英会話の上達につながると思っていた人もいたようです。その当時アメリカでは、ニュースで日本の女子学生による援助交際が問題視されていたそうです。日本人にとっては耳の痛い話ですが、未知のものに対する羨望から一気に学習熱が加速していったのでしょう。
- 2つの目的意識
1つは、東京オリンピックを控え、英語で対応したい人が増えたということ。都内の某英会話学校には20代~50代まで幅広い世代の生徒が通っていますが、その目的は外国人に日本を知ってもらいたいという共通しています。
「英語」を学ぶのではなく、「英語」をツールとして使い、外国の人に楽しんでもらいたいという思いが感じられます。これはバブル期に比べると、より能動的な学習者が現れたことを意味しているに等しいことです。
もう1つは、日本企業の海外進出に勢いがついていること。
楽天株式会社、株式会社・ファーストリテイリング、アサヒビール株式会社などの大企業を中心に、会社内の公用語として「英語」を使用しているところが増えています。
経済のグローバル化が加速すればするほど、また労働の担い手不足を補うために外国人を雇えば、ますますこうした傾向は進むものと考えられます。
まとめ
大人になってから英語を学習する意味は大いにあります。
多くの外国人と知り合いになることができますし、ネット媒体の情報の多くは英語で書かれたものが多く広い知識を得ることが可能です。ペンシルベニア州立大学の調査によって、外国語の学習は脳を活性化することにつながり、認知症の予防への効果を期待することができます。
野球選手やサッカー選手が海を渡り世界で活躍している時代、ビジネスにおいても英語ができれば社内での評価は高まりあなたの活躍できるフィールドが今よりも広がっていくでしょう。バブル期の英語ブームは、クイーンズイングリッシュに対する憧れや羨望を投影したものが契機となっていました。
しかし、現在のそれは、英語をコミュニケーションの手段として使い、実践的に活用していきたいという思いがベースにある点でまったく違っています。