夏はいろいろな野菜がスーパーの店頭に並び、一気に食卓が華やぎますね!
夏野菜の中には、あまり目立たないけれど、いろんな使い方ができる野菜があります。「野菜は買うもの」という発想から「野菜は育てるもの」という考えに、ちょっとだけシフトしてみましょう。
野菜栽培初心者であっても簡単に育てていくことのできる野菜について取り上げたいと思います。
特に、苗の選び方と特徴、そして栽培法を中心に紹介していきます。
日陰でも育つ夏野菜と、その特徴
夏野菜と言えば、色の濃い日向を好むものが多いですが、日当たりが悪くても育てやすく、調理しやすいものを選びました。ベランダで、誰でも手軽に育てることのできる野菜を2つ紹介していきます。
これらの野菜は、いったいどんな栄養素を含んでおり、どんな効果を期待することができるのでしょうか?
「シソ」の名前の由来と栄養素や効能
漢字では「紫蘇」と表記しますが、これに関して面白い逸話が残されています。後漢の末に、洛陽の若者が蟹で中毒を起こした際に、薬草を煎じると回復したと言い伝えられています。
または、蟹の中毒で亡くなりそうな子どもに、紫の薬草を食べさせると蘇ったことから、「紫蘇」と呼ぶようになったそうです。ビタミンB群、ビタミンC、鉄分、食物繊維、カリウムなどの栄養素を多く含んでおり、特にβカロテンの含有量は野菜の中でも群を抜いた存在感を誇ります。
紫蘇特有の芳香の元である「ぺリルアルデヒド」は、胃液の分泌を刺激し、食欲増進効果などを期待することができます。
「バジル」の呼称の由来と栄養素や効能
大きな仲間分けでは、「バジル」は「シソ」のグループに分類することができます。日本においては「メボウキ」という和名がありますが、これは種子が漢方薬としてゼリー化したもので目の汚れを取り除くために使われていたことに由来します。
その他、イタリア語由来の「Basilico(バジリコ)」という名前も日本に定着しています。βカロテンなどの栄養素による抗酸化作用で若返りと痩身効果を期待することができます。
バジルに含まれる精油成分「オイゲノール」には殺菌効果を期待でき、しかもカルシウムとビタミンKを含んでいるため、カルシウム吸収率がよくなり丈夫な体を維持するのに役立ちます。
日陰でも育つ夏野菜の苗の選び方と栽培法!
上に挙げた「シソ」と「バジル」は、苗から育てた方が初心者でも取り組みやすいです。そこで良い苗の選び方と、それぞれの栽培法について、これから紹介していきたいと思います。
「シソ」の苗の選び方と栽培法
ホームセンターなどで80円~100円くらいで売られています。苗を選ぶ際は、葉にツヤがあり葉先がピンとしているもので、節と節の間隔が広くなく、茎が太いものにしましょう。葉を見た際に、虫食いがあったり、明らかな色の違いがあったりする場合は避けるようにしてください。
園芸用のプランター(20㎝~40㎝)に、野菜用の土を入れて育てましょう。土を入れる際は、プランターの8割を目安にして土を入れると、泥水によってベランダが汚れることを防ぐことができます。苗の植え付けの時期は、お住まいの地域によって異なります。
北海道などの寒い地域であれば5月下旬~7月初旬、関東から中部地方は5月中旬~6月下旬、四国・九州地方や沖縄は5月上旬~6月中旬くらいまでです。湿った状態を好みますので、土の渇き具合を見ながら、水やりは必ず午前中に底の穴から水が出るくらいたっぷりと行ってください。
肥料が不足してくると、葉の色がレモン色になってきたり、葉が小さくなってきたりするので、2週間に1回くらい液体肥料を水やりの代わりに行うようにしましょう。収穫をする時期は、高さが30㎝、本葉が10枚以上になった時から行いましょう。
初めの頃は、葉は硬く味も良くないので、それより後の若い葉を摘み取るようにしましょう。
「バジル」の苗の選び方と栽培法
ここでは一般的に利用されることの多い、「スイートバジル」について紹介していきます。ホームセンターなどで、1株100円前後で販売されていることが多いです。いい苗を選ぶポイントは、葉は緑色で、黒い斑点や虫食いの跡がないものを選ぶようにしましょう。
茎がしっかりとしていて、節と節の間が狭く、葉数が多いものを選ぶことも大切です。狭いスペースを有効活用して育てていくために、鉢の大きさは5号鉢か、6号鉢を使いましょう。培養土は市販されているものを使うと簡単に育てることができます。
苗を植え付ける時期は、関東地方~中部地方は5月~7月です。上に挙げた地方よりも寒冷な地域では2週間ほどずれ込み、温暖な地域では2週間ほど前倒しになります。水やりのタイミングは土の表面が完全に乾ききって白っぽくなったら、たっぷりと水を与えるようにしましょう。
ただし、常に土が湿った状態にしておくのは枯れる原因となってしまいますので注意してください。植え付けから2週間経ったら、隔週に1回のペースで液体肥料を与えるようにすると大丈夫です。肥料不足のサインは葉の色が黄色くなってくるので、すぐに判ります。
草丈が20㎝くらいになったら、生長点(高いところ)から下の2節目を切り落とす(摘心)と、わき目が出てきます。このわき目も同様にして、摘心を2回~3回繰り返すと、株を太らせることができます。
そしていよいよ収穫ですが、葉が茂っていて風通しの悪いところを中心に葉を摘み取るようにするといいです。
まとめ
野菜は種類によって好みの生育環境が異なりますが、「シソ」や「バジル」は日陰でも充分に育てることが可能です。
また、ともに豊富な栄養素を含んでおり、さまざまな効果を期待することができます。ですから、わき役としてではなく、パスタなどに絡めて積極的に摂ることをおすすめします。
ホームセンターなどで必要なものはそろうので、植え付け後の水の管理と肥料切れに注意すれば、収穫を楽しむことができますよ。つる性の植物ではないので、ベランダが広くなくてもスペースを有効に使って育てられます。