訃報は突然のことではありますが、いくら小さい頃から可愛がってもらった親族であっても、お通夜や葬儀に出られないことがあります。
遠くに住んでいる場合もありますし、子供や介護が必要な家族を抱えている場合に、預ける所もなく参列が難しいこともあるでしょう。
亡くなられた方への弔意を表すために弔電を出す方法があります。
ただし、日程が迫っていて、葬儀の始まる2~3時間前までに届かないと考えられる場合には弔電を送るのはやめてください。
弔電文例おばさん/おじさんや祖父/祖母向け
弔電は基本的にお通夜や葬式に参列をして見送りが難しい方が、亡くなった方にお悔やみの気持ちを表し、遺族にお見舞いの気持ちを表すメッセージです。
どちらかと言えば、ビジネス関連の取引先や、友人や知人の家族の葬儀に出すことを想定しています。
親しい身内は出席するのが当たり前という風潮も根強く残っていて、年齢層が高くなるに従い、出席せずに弔電を出して済ますのはおかしいと考える方も増える傾向にあり、批判をする方も見られます。
弔電のメッセージのマナーや注意点は?
弔電の宛先は喪主になります。
祖父母が亡くなったら、それぞれの配偶者か子供に当たる方が喪主になるのが一般的です。
つまり、おじいちゃんかおばあちゃん、おじさんやおばさん宛に弔電を出すことになりますね。
おじさんやおばさんが亡くなられた場合もやはり、それぞれの配偶者か子供なので、おじさんかおばさん、もしくは、自分のいとこさんになります。
そこで失敗しやすいのですが、故人との関係を弔電のメッセージに書く場合です。
例えば、亡くなられたのが祖父で伯父が喪主を務める場合についてですが、文中に「おじいちゃん」や「おじいさん」と書いてはいけないのです。
あくまでも喪主である伯父宛に弔電を出すので、「御尊父様」や「お父様」と書かなくてはいけません。
いとこさんが、おじさんやおばさんの葬儀の喪主をする場合も同様です。
どんなに親しい関係でも「おじさん、おじちゃん」「おばさん、おばちゃん」などと文中に載せるのはマナー違反となります。
いとこから見て「お父さん」、「お母さん」になるので、「御尊父様」や「お父上様」、「御母堂様」や「お母上様」と書かなくてはいけないのです。
配偶者が喪主を務めた場合は、このようになります。
おじいさんやおじさんが亡くなって、おばあさんやおばさんが喪主になった場合は、夫を丁寧な言い方にした「御主人様」です。
反対に、おばあさんやおばさんが亡くなって、おじいさんやおじさんが喪主をする場合は、夫人の敬称になる「御令室様」と書き表します。
文例はこのようになります。
「御尊父様」の部分は、亡くなられた方や喪主の関係を考えて変えてください。
<文例1.>
御尊父様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
在りし日の優しい笑顔が思い浮かび、悲しみの気持ちで一杯です。
故人が安らかにご永眠なさいますようお祈り申し上げます。
<文例2>
御令室様のご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。
謹んでお悔やみ申し上げますとともにご冥福をお祈りいたします。
<文例3>
ご主人様の突然の訃報を伺い、悲しい気持ちで一杯です。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
非常に固い文面です。
マナー通りにしたとしても親族を悼んでいるように受け取るのは難しいでしょう。
故人の家族や近い親族の方は、他人行儀のようなメッセージでかえって怒りを感じることもあると言われています。
マナーを守ることも大切ですが、なかなか受け入れられない場合もあるので注意が必要です。
実際に親族から聞いた話です。
知り合いの方のご兄弟が亡くなった際に、故人やその方の叔母さんが体の具合が悪くて葬儀に出られないため、弔電をよこしたとのことです。
マナーを守った定型文で送られたとのことですが、非常に冷たい感じがして、儀礼的に送ったように感じて腹立たしい気持ちがしたと言うことです。
他の親族の手前、体面や体裁を考えて送るなら、いっそもらわない方が良かったのにとも話していたと言うことでした。
それまでの親族間の関係も影響するかもしれませんが、必ずしもマナーをきっちりと守ることだけが全てではないと思われます。
あえて故人と喪主との関係を文中に記載せずに弔電を送る
もっと柔らかい、親しみのある内容にするには、あえて故人と喪主との関係を記載しないようにするのがおすすめです。
その代わり、亡くなられた方とのエピソードを失礼のない範囲内で手短に入れると、亡くなられてさみしい気持ちや故人を悼む気持ちがより強く伝わります。
同時に亡くなった親族と同居している家族の気持ちを思い遣る言葉を入れると、ねぎらう気持ちも伝えられます。
<文例1>
突然の悲報に驚いております。
受験勉強を見てもらったことや家族の介護について相談して励ましてもらったことが思い出され胸が痛みます。
御家族の皆様もどうかお力を落としませんように。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
<文例2>
訃報に接しまして、哀悼の意を表します。
生前優しく折り紙やお手玉の遊び方を教わったのが今のことのように思い出されます。
御家族の皆様のご落胆もいかばかりでしょう。
教えてもらいたかったことがたくさんありましたのに残念でなりません。
心からお悔やみを申し上げます。
故人の敬称は入れなくても大丈夫だとは言われています。
しかし、マナーの面から見ると、文章もくだけていますので、落第点かもしれません。
故人との関係が近いからこそ書けるエピソードだと考えられます。
葬儀の場ではいただいた弔電を読み上げることがありますが、エピソードが入った文面を読み上げられることはないかもしれません。
それでも、故人や親族に気持ちが伝えられると思われます。
まとめ
現在では、海外に居住している方も多いですし、遠方に転勤をして家族で住んでいる方もいます。
子供や介護が必要な家族を預ける先も非常に少なく、大変な思いをしている人も増える一方でしょう。
すぐに参列するのは無理でも、弔電を出して悼む気持ちを表し、四十九日までに故人の墓前にお線香を上げてお別れの気持ちを表すような柔軟性が認められればいいと強く願っています。