ソフトバンクグループの子会社が管理運営をしているサイバー大学が一時期話題となり、通信制大学という言葉が改めて注目されました。社会人や、退職した方も学びの場として利用することが増えているようです。
学び方の選択肢がたくさんあるのはとてもいいことですが、実際通信制大学ってどうなんでしょう?ちゃんと大学なの?通信だから、大学なんて名前だけでは?
今回は気になる通信制大学の学歴や扱いについて調べてみました。
通信制大学は学歴にならない!?最終学歴はどうなる!?
「通信制大学って高卒と同じでしょ?」
「学歴としては扱われないよね」
今までにそんな言葉を聞いた方もいるかもしれません。
結論から言うと、
通信制大学とは正しくは「大学通信教育」といい、学位を取るために私立の大学、大学院等が設けた通信教育のことです。学校教育法により昭和25年に正規の大学として文部省に認可されていて、平成15年4月からは博士課程も開設されています。
2017年現在では46大学、27大学院、12短期大学が通信制を実施しています。
つまり、通信制大学も「大卒」であり、学歴として扱われているのです。
えー?そうなの?!と思ったあなた。学歴にならないと思っていた理由に、こんな考えがあるからかもしれません。
「通信制大学って誰でも入れるんじゃないの?」
「仕事と両立できる程度なんでしょ?」
「なんか楽そう。なのに大卒扱いなの?」
「自宅学習の人と同じ扱いなんて納得できない!」
確かに、苦労して受験をして受かった通学制と全く同じ扱いになるのは納得できない方がいてもおかしくありません。それにここまで読んでいると、楽に学位が取れるなら通信制でいいじゃない?って思った学生さんもいるかもしれませんね。
通信制でも通学制でも、結局は一緒の扱いなのでしょうか?
通信制大学で大卒の資格を得る大変さ…
実は通信制大学って思っているより楽ではないそうです。次の項では通信制大学の大変さについて触れてみます。
通信制って入るのは簡単?卒業が難しい?
せっかく卒業した通信制大学が学歴として認められてよかった・・
そう思った通信制大学の卒業生の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?というのも、通信制大学の卒業率はとても低く50%あればまだいい方で、あの有名な放送大学ですら30%から40%しかありません。
そんな中で卒業したのですから、堂々と学歴として扱ってもらいたいですよね。ではどうしてこんなに卒業率が低いのか、早速調べてみました。
通信制大学は基本的に入学試験がありません。つまり通学制の皆さんが高校時代に経験するセンター試験などの大学受験の勉強がいらないということになります。
通信制大学と一緒にされたくない!と思う通学制大学の方がいらっしゃるのはこれが要因なことが多いのではないでしょうか。簡単に入れたくせに!なんて思ってしまったり・・
しかし通信制大学は入るのは簡単なのですが、入ってからがとても大変なのです。通信制大学の学生は通学制と違って学校に行く日は極めて少ないです。なので実際には教授からほとんど直接授業(スクーリングと呼ばれています)を受けずに試験の日を迎えることになります。
基本的にテキスト授業は自習になるため、教授が授業の中でおっしゃった試験のヒントやポイントなどを聞くこともできないですし、力を入れている部分や範囲を肌で感じることがない分試験へのヤマも張りづらいですね。
質問をしたくても相談する友人が出来づらかったり、レポートや卒業論文の書き方でつまづいてしまって途方にくれたり、ほかの学生との交流が希薄なことも大変な一面と言えます。
そして、これが意外と盲点なのですが、一人で勉強の時間を設けるには相当の意志の強さが必要になってきます。いざ勉強をしようとしても、周りには誘惑がいっぱいですよね。時間の縛りもなく監視の目もない状態だとついつい自分に甘くなってしまうのも通信制大学ならではの落とし穴ともいえそうです。
そんなこともあり、実際に4年で卒業できる方はほとんどいないと言われています。単位の取りかたも、卒業までの時間のかかりかたもすべて自己責任であるということですね。何年もかけて卒業できた通信制大学。次に待ち受けるのは就職です。
通信制大学はれっきとした「大卒」ですが、なにもかも通学制大学の方と同じ扱いをしてもらえるのでしょうか?次では「大卒」という肩書を得て挑む就職活動について触れていきましょう。
いざ就職活動!履歴書や面接では?
通信制大学に入ったのは何のためでしょう?もちろん知識を増やしたかったり、スキルアップや学びたい思いからという方もいるとは思いますが、やはり就職のためという方が多いですよね。
就職支援が行われていたり推薦枠があったりする大学はとても珍しく、就職においてサポートがある通学制の学生との差はここで現れます。学生時代だけではなく就職に際しても自分の意志で積極的に動く必要がありそうですね。
さてここで履歴書に通信制と書くべきか迷いますが、書くかどうかはご自身の自由です。「通信制か・・」と面接官からの印象が不利になるのも嫌だという気持ちや、聞かれたら答えようと思い敢えて書かない方もいるし、堂々と書く方もいるし人それぞれです。
ただ、通信制大学を卒業した時点で学位ももらえている立派な「大卒」です。書くか書かないかは別として胸を張って就職には臨んでいきましょう。
まとめ
通信制大学はそのイメージから誤解されていることが多いようです。もう一度書きますが、通信制大学も卒業時に学位がもらえる「大学」です。卒業後の扱いや、最終学歴は「大卒」となります。
残念ながらまだ通信制大学に対して誤解を持った方も多く、学歴での風当たりが強い企業も少なくありません。ですが社会に出ると学歴以外のことが大事になる場面もたくさん出てきます。
通信制大学の学生さんは自分を強く持ちながら学生生活を送っていたため資質的にも社会人と近く、精神的に自立している方が多いそうです。通信制大学の卒業生の方も通学制の卒業生とは違った強みも持ちながら誤解のない社会で活躍していけることが一番望まれますね。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
通信制大学への誤解が少しでも解けて、その中身や卒業の大変さなどがもっと広まってほしいなと思っています。